ネットワークソリューション編
衛星から防災までユニークで多彩な「ネットワークソリューション」
理経のネットワークソリューションの歴史は古く、1970年代はデータ通信というくくりのビジネスを展開し、1976年に全日空の主要空港と支店、代理店を結ぶオンライン予約システムネットワークを納入する一方、1974年にScientific Atlanta社(現Cisco Systems G.K)製の衛星追尾地上局を南極昭和基地に納入。1988年には鹿島宇宙センターに34m電波望遠鏡を納入するなど、デジタルネットワークがまだ萌芽期の時代から情報通信、データ通信分野そして衛星通信分野において実績を確立し、現在の「ネットワークソリューション」事業へと発展しました。
今回はそのなかから、製品やソリューションの一部をご紹介します。
イーサネットワークへの移行を支える「スードワイヤー技術」
スマートフォンなどのモバイル端末の普及や、ビジネス用途のクラウドサービスの利用が拡大するなど、IP技術をベースにしたサービスが拡大し続けています。通信事業者は、音声などの従来型回線サービスからIP技術をベースにしたイーサネットワークサービスへの移行や増強をし続けています。しかし、企業などの拠点間(本社-支店)の通信を支えてきたアナログ回線や音声回線などが代表する従来型回線サービスは、イーサネットワークに接続することができないという欠点があるため、完全になくなったわけではありません。イーサネットワークに接続するには、新しい機器に置き換える必要があり、その更改費用は莫大になってしまうケースがあるからです。
そこで、理経が取り扱う「スードワイヤー技術」に対応したRAD Data Communications社の「IPmux-24 T1/E1スードワイヤーゲートウェイ」がとても有効です。「スードワイヤー」は疑似回線という意味で、イーサネットワークサービスを使用しながら従来型回線サービスを提供する技術です。「IPmux24 T1/E1」を利用することで、既存の機器を引き続き利用しつつ、イーサネットワークへ移行することができます。
通信事業者としても、イーサネットワークへ移行・一本化することができるため、従来型回線サービスを維持・運用するために費やす保守コストを削減することができるのです。
4K放送の伝送を支える次世代ビデオ圧縮技術と大容量伝送配信
3月1日、世界初の4K映像専門のチャンネルとなる、スカパー!プレミアムサービス4K専門チャンネルが開局しました。
4K映像は、現在の地デジ放送で使用されているフルHDと比較して4倍の解像度で、きめ細やかで迫力のある表現ができ、サッカー中継であれば選手の表情まで分かってしまうくらいの臨場感があります。4K映像はデータ量も4倍です。そのデータ量を半分近くに圧縮するための施策がHEVCと呼ばれる映像データを圧縮する技術です。また、データ量の増加に伴い伝送容量の増加も急務になっています。そこで、既存の衛星デジタルテレビ放送規格の機能や性能を高めた新規格「DVB-S2X」が発表されたため、各メーカーはより効率的に大容量伝送を実現するべく、最新機種に「DVB-S2X」を搭載する動きになっています。
理経では、この時代の変化と顧客ニーズに合わせ、4K映像を運用する技術にさまざまな製品とそれに付随する周辺機器までを映像・通信のトータルソリューションとして提案しています。例えば、「DVB-S2X」を搭載する「衛星モデム」や「周波数コンバータ」などにビデオエンコーダシステムを組み合わせます。その他に、有線では実現が不可能な移動帯における衛星通信の分野でも、移動時の振動に対応し、衛星を捕捉しながら通信を続けることが可能な「車載用平面アンテナ」なども取り扱っています。
災害に強い防災情報システムと長距離無線LAN
2011年3月11日東日本大震災を契機に全国の自治体が防災を見直しており、理経では災害に強い防災情報システムと、それを構築する長距離無線LAN(FWA)を提供しています。
2011年3月までに自治体へ一斉配備されたJアラート受信機への拡張機能や連携システ ムとして、エリアワンセグ放送やケーブルテレビにJアラート情報を挿入できる「L字放送プラス」、防災行政無線の音声を携帯電話やスマートフォンで聞き直すことができる「音声メールシステム」、災害時に防災情報を受信するためのWi-Fiホットスポットの設置、沿岸部や河川へIPカメラを設置しカメラを遠隔で操作・監視するシステムなど、地域住民に伝達するさまざまな手段や災害状況を把握するシステムなど、自治体のニーズに応じて提案しています。
また上記のような防災システムを構築するネットワークは、災害発生時、有線ネットワークやインフラの脆弱性が顕在化し、また、スマートフォンなどの情報通信機器の急激な普及に伴い双方向通信への対応にも迫られています。
理経では、市役所や消防本部、防災センターなどを起点に小・中学校やコミュニティFM局、公園などを結ぶ長距離無線LANでネットワークを構築しています。5GHz帯で40kmを超える伝送距離を実現するRAD Data Communications社の「Airmux」や、最大1Gbpsの伝送速度を実現するSiklu社の60/80GHz帯「EtherHaulシリーズ」など、さまざまな周波数帯の無線システムなど、幅広いラインアップを揃えています。
これらのビジネスを技術面から支える部隊として、理経では、幕張に技術センターを有しています。機器の出荷検査、設置作業、故障時の修理などの保守や運用サービスを行い、全国におよぶネットワークでサービスを提供しています。
このように理経では、長距離無線LANでは15年、映像配信分野では24年、衛星通信では約30年にもおよぶ実績があります。こうして長年にわたり積み上げられたソリューションの集大成である「ネットワークソリューション」事業は、常に革新を続ける情報通信市場において、時代に即した製品とソリューションをお客様に提案し、新たな課題に応えているのです。
(2015.4.7 掲載)