低軌道衛星

(2022.9.29 掲載)

24「低軌道衛星」

このコーナーでは「いまさら聞けない業界用語」と題し、理経が取り扱う製品のなかから、今話題のキーワードについてご紹介します。

私たちの暮らしのさまざまな場所で活用されている人工衛星。衛星を利用した無線通信は、陸・海・空の場所を問わず、同一の情報を異なる複数の拠点に同時配信することができ、大容量の情報も低遅延で高速に伝達可能です。
また、災害発生時も地上の状況に左右されないため、BCP対策(※1)としても活用されています。

今回は、衛星通信の中でも、「低軌道衛星」を利用した通信サービスを中心にご紹介します。

※1 緊急事態発生時に企業が事業継続するための方法を決めておくこと。

登場人物紹介

  • えびちゃん

    えびちゃん

    広報部入社7年目。知識豊富でちょっぴり強気な姉御肌。趣味はゴルフとお酒。

  • まなぶくん

    まなぶくん

    営業部入社3年目。好奇心旺盛で打たれ強い性格。自社製品について日々勉強中。趣味はマラソンとお酒。

まなぶくん

先輩!久しぶりにランチご一緒しませんか?29日はニク、「肉の日」ってことで、昼から焼肉なんてどうですか?焼肉、焼肉~♪

えびちゃん

焼肉いいわね、賛成よ!ところでまなぶくん、今日は何の日つながりでクイズよ。9月12日は何の日だったか知ってる?

まなぶくん

もちろん知りません!そんなことより焼肉行きましょ!

えびちゃん

即答ね!少しは考えなさいよ。9月12日は「宇宙の日」。1992年の国際宇宙年を記念して制定された日で、毛利衛宇宙飛行士が日本人として初めてスペースシャトルで宇宙に飛び立ったのがこの日なの。昨年は民間人が初めて宇宙に行ったニュースもあったわよね。

まなぶくん

なぜ唐突に宇宙の話を? 宇宙と言えばUFO、UFOキャッチャーやりたいんですか?宇宙ネタなら、焼肉屋さんで僕の好きな宇宙マンガについて語らせてください♪

えびちゃん

多分UFOキャッチャーだったらまなぶ君に負けないし、私もそのマンガは好きだけど、今理経でも衛星通信関連で話題になってることがあるでしょう?

まなぶくん

何かあったかな…、あ!「低軌道衛星」のことですか?人工衛星って、あまりにも遠すぎるところにあって、イマイチよくわからないっていうか。何でずっと飛んでいられるの?落ちてこないの?ってことだけで頭いっぱいになっちゃうし。

えびちゃん

そう言わずに少しは勉強したら?
まず、人工衛星には目的によってさまざまな種類があるのは知ってるかしら?主なものをあげると、マイクロ波帯の電波を用いた無線通信で遠隔地から相互にデータ通信することを目的とした「通信衛星」。テレビのCS放送はこの衛星を利用しているわね。BS放送専用に設計されている「放送衛星」も通信衛星の一つよ。マイクロ波センサーや赤外線センサーなどを用いて、地表の温度や雲の状態、水の有無など地球の観測を目的としているのが「地球観測衛星」。これ以外にもいろいろあるのよ。

まなぶくん

僕もBS放送やCS放送でスポーツ中継とか見てます!人工衛星はずっと前から僕のトモダチだったんだ~。でも、あれ?ちょっと待ってください、今出てきた種類のなかに「低軌道衛星」がないですよね?

えびちゃん

「低軌道衛星」というのは、人工衛星が周回する軌道は高度によって低軌道、中軌道、静止軌道(高軌道)の3種類に分けられていて、高度2,000kmまでの軌道を周回する衛星が「低軌道衛星」に分類されるの。「地球観測衛星」はこの低軌道を飛行しているのよ。「通信衛星」や「放送衛星」は静止軌道に属するわね。

まなぶくん

「低軌道衛星」は名前の通り低い軌道を飛んでいる衛星のことなんですね。う~ん、高さを分けることに何か意味あるんですか?

えびちゃん

低軌道を周回する「地球観測衛星」の主な用途は「衛星リモートセンシング」よ。地球の変化を観測するために、人工衛星を利用して対象物の情報を離れた場所から収集する技術のことをそう呼ぶの。

まなぶくん

衛星リモートセンシング?初めて聞きましたがなんだかかっこいい響きですね!僕も言ってみたい!今度とりあえず意味もなく会話で使ってみます!えいしぇいりもーとしぇんし、、、あれ?

えびちゃん

言えてないわよ。とにかく、「低軌道衛星」は静止軌道衛星に比べて地球との距離が近くなるわよね。だから、高速で低遅延な通信が実現できるし、高解像度な撮影も可能になるの。近年では多くの人工衛星に搭載されている可視・赤外線センサーの性能が向上しているから、地殻変動や海面上昇など数十cmクラスの変動を観測したい場合には「低軌道衛星」が利用されるのよ。
さらに、地球との距離が近いということは電波の出力も小さくて済むから、衛星の小型化が可能なの。打ち上げコストを大幅に削減することができるのよ。

衛星通信イメージ図

まなぶくん

数十cmクラスの変動を観測できるってすごいなー。よく小さいころ大人から「誰も見ていなくてもお天道様が見ているよ」って言われたけど、あれって衛星が見てるよ!って意味だったのかな?

えびちゃん

それはまた別の話だと思うけど。相変わらず発想が独特ね。
地球の変化を察知できると、さまざまな分野での問題解決や未来予測に貢献できるの。いくつか例を挙げるわね。


農業:農地の作付け、収穫量、農作物の成長度合いの確認
環境:大気汚染、水質汚染、土壌汚染の発見
防災:地震、津波など災害発生時の被災状況の確認やネットワークインフラの提供
土地利用:森林、市街地、工場など土地利用状況の確認


などがあるわね。

まなぶくん

へ~!僕の知らないところで「低軌道衛星」すごい活躍ですね!やるな~!

えびちゃん

「低軌道衛星」の活用方法が理解できたところで、理経はこれまでにも静止軌道衛星通信用のパラボラアンテナや送信機、受信機など、衛星通信に必要不可欠な高周波機器を数多く取り揃えているから、放送事業者や衛星通信事業者、その他数多くの民間企業に導入実績があるわよね。

まなぶくん

はい、大型のパラボラアンテナはめっちゃ迫力あります!

えびちゃん

最近は「低軌道衛星」通信用の自動追尾アンテナや、衛星本体に搭載する特殊なRFコンポーネント(※2)の取り扱いも開始したのは知ってる?特にRFコンポーネントに関しては、お客様のご要望に合わせた仕様を一から設計、開発、製造可能なのよ。機器販売だけでなく、システム設計からシステム構築、保守サポートまで一貫したサービスが提供できるのも理経ならではよ。


※2 RFコンポーネント:さまざまな高周波回路に使われる高周波部品のことで、サーキュレーター、リミッター、フィルターなどがある。

まなぶくん

あ、理経が衛星追尾地上局を南極昭和基地に納入したのが、確か1974年でしたよね。衛星関連事業は歴史が長いですよね。

えびちゃん

昨今は、高い技術力でソリューション提案やソフトウェア開発、ネットワーク構築などを手掛けるICTサービス企業として定評のある株式会社オーイーシーと戦略的業務提携契約を締結して、「低軌道衛星」をはじめとする宇宙関連ビジネス全般に力を入れているわ。今後は地球観測データの利活用をより具体化して事業を推進していく予定よ。

まなぶくん

さすが先輩!「低軌道衛星」に関して僕もまた一つ知識が増えたところで、そろそろ焼肉行きましょ~!

えびちゃん

私も貴重なランチタイム前にレクチャーしたおかげでお腹ペコペコ。
そうそう、衛星がなぜ落ちてこないのかが気になっていたようだけど、後で勉強して報告してくれるかしら?

まなぶくん

は~い(汗)

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