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大震災時に倒壊した建物の下敷きになった生存者を探索。
振動センサ・音響センサを用いた人命救助用機材「地中音響探知機 TPL310D Mini」

阪神・淡路大震災(平成7年)における災害派遣は、自衛隊にとって初めて経験する大規模な都市型災害でした。全半壊約25万棟という被害で、数万人もの生き埋めが発生しました。救出には、家族や周囲の人の証言や、倒壊した家屋に閉じ込められた人の呼びかけに応える声を頼りに、見当を付けて掘り進まなくてはならない状況でした。派遣された隊員たちは、救助に使う十分な災害派遣専用器材が備わっていなかったため、一刻を争う被災者救出活動にあたり困難に直面しました。

その教訓に基づき、陸上自衛隊は救助活動を行う際に使用する装備として「人命救助システム」を導入しました(理経も本システムの導入に携わっています)。本システムには、「捜索用音響探知装置」と呼ばれる「TPL310D Mini」と同様の製品が盛り込まれています。

また、自衛隊と同様に人命救助を任務とする消防では、特別区及び指定都市に配備されている高度救助隊、特別高度救助隊に、地中音響探知機の装備が義務化されています。

今回は、理経が取り扱う地中音響探知機「TPL310D Mini」をご紹介します。

地中音響探知機 「TPL310D Mini」

本装置は、大震災時に建物が倒壊した際に、瓦礫の下敷きになった生存者を、振動センサおよび音響センサを用いて捜索する人命救助機材です。小型・軽量、取り扱いが簡単、高い検知精度といった特長があります。

小型の本体装置に、双方向の音響センサ、二つの振動センサを接続するだけという、非常にシンプルな構成です。本体装置とセンサの間は12mまで拡張できる専用ケーブルで接続し、二つの振動センサは本体を中心に24mまで広げることができます。また、センサは地中に埋める(瓦礫の中に入れる)ように設置し、ボタン操作でフィルターをかけ地上のノイズを拾わないようにします。

2017年9月には、イタリアの消防隊により仮想の災害現場でのコンペが行われ、「TPL310D Mini」は制限時間内に最も要救助者を探し出し、高い評価を得ています。

要救助者と双方向通信が可能な音響センサ

音響センサは高感度スピーカおよびマイクとして機能し、要救助者と双方向通信が可能です。本体装置を「SURVEY(調査)」モードにして要救助者への呼び掛けと聞き取りを行い、かすかな声でも検知します。

声が出せない状況でも検知する振動センサ

「LOCATE(場所特定)」モードにした本体装置を中心に、二つのセンサを最大24mに広げて設置します。各センサが検知した振動強度を確認しながら、要救助者のいる場所を特定していきます。要救助者が声も出せない状態でも、周りにある瓦礫などをコンコンと叩いてくれえさえすれば、検知できる精度があります。

この装備は下の写真のようにBOXに一式が収まる小型パッケージとなっているため、持ち運びのしやすさも特長です。

都市部での災害時に力を発揮

救助活動のニュースなどで、救助犬が活躍する光景を見たことがある方も多いと思います。よく訓練された救助犬ではありますが、犬は嗅覚で人を検知するため、既に亡くなられた被災者を発見することもあるそうです。

「TPL310D Mini」は振動、音響を利用することから、一刻を争う状況で生存者を発見・救助活動ができ、また瓦礫、木材のように反響しやすい環境に適しています。将来、発生するかもしれない都市部での建物倒壊のような災害時には、特に人命救助に力を発揮することが期待できる製品です。

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(2023.1.27 掲載)