SAN ボリューム・コントローラー(以下、SVC)は、多種多様なサーバやストレージ製品が混在する SAN 環境下において、ディスク・システムの仮想化を行う製品です。
異機種混合環境における多種多様なディスク・システムをブロック・レベルで仮想化することにより、各装置の物理的な属性を意識することなく、SAN 環境での管理を一元化します。
これにより、複雑化する SAN 環境においても TCO を大幅に削減することが可能です。
また、SVC のもつ先進機能を既存のディスク・システムにも適用できるため、ストレージのリソースを最大限に有効活用することができます。
SVC に組み込まれたIBM Spectrum Virtualize が提供するデータ仮想化テクノロジーによって、アプリケーションを物理ストレージから切り離すことができます。これにより、ストレージ基盤に変更があっても、アプリケーションは中断することなく稼働し続けます。
SVC によるストレージの仮想化は、新規や既存を問わず、ストレージをより有効に活用できます。SVC には、従来はディスク・システムに個別に導入されていた多くの機能が組み込まれています。
そうした機能を仮想化システムに組み込むことで、SVC は、仮想化ストレージ全体にわたって機能を標準化し、柔軟性の向上とコストの削減を実現します。
SVC に組み込まれた IBM Spectrum Virtualize は、あらゆる仮想化ストレージにメリットをもたらします。例えば、Easy Tier とリアルタイム・データ圧縮はパフォーマンスの向上と有効な容量の拡大に役立ち、暗号化はデータ・セキュリティーの向上を支援し、高性能な Thin Provisioning はプロビジョニングの自動化を促進します。
また、既存のストレージ資産の耐用年数を延ばし、コストの削減に貢献します。これらの機能は、SVC に統合されているため、スムーズに連動でき、管理作業の軽減に役立ちます。
IBM Real-time Compression は、データを最大 80% 圧縮することで、同じ物理ディスク容量で最大 5 倍のデータを保管できるようになります。
他の圧縮方法とは異なり、このリアルタイム・データ圧縮では、実動データベースや e- メール・システムなどのアクティブなプライマリー・データで使用できるよう設計されているため、圧縮のメリットを得られるデータは多岐にわたります。また、このデータ圧縮方式では、データをディスクに書き込む前にリアルタイムに圧縮処理するため、処理前の非圧縮データを保存するディスク・スペースが不要になります。
さらに、専用のハードウェア・アクセラレーターで高速化されたリアルタイム・データ圧縮は、データ・ストレージの経済性に変革をもたらします。新規または既存の仮想化ストレージに適用すると、アプリケーション・パフォーマンスを維持しながら、使用可能な容量を大幅に増やすことができます。これまでストレージにかかっていた購入コスト、ラック・スペース、電力、冷却が不要、または大幅に減り、既存のストレージ資産も耐用年数を延ばせます。
階層型ストレージの導入は、ストレージ・コストを低減するための重要な戦略になります。この戦略の実行により、企業は、さまざまなストレージのパフォーマンスと費用対効果を検討して、ビジネス・ニーズに応じた適切な規模のストレージ・インフラストラクチャーを構築することができます。
これまでは、同一ベンダーであっても、機種が異なるストレージでは管理方法や機能が異なるため、階層型ストレージの導入は複雑になり、限定的な導入にとどまっていました。
Easy Tier による自動ストレージ階層化は、効率的にフラッシュ・ストレージやディスク・ドライブの複数の階層を活用することで、コストを抑えつつパフォーマンスを向上させます。
Easy Tier は、さらに多くのアクティブ・データを自動的に識別して、アクティブ・データをフラッシュなどの高速ストレージに移動します。そのため、企業は、フラッシュ・ストレージに保存するデータを最も効果が出るデータに絞り、少ない容量のフラッシュ・ストレージでも最大限にフラッシュのメリットを引き出せます。実際、Easy Tier は、ストレージ容量の 5% をフラッシュ・ストレージにすることで、パフォーマンスを最大 3 倍向上させることができます。
Easy Tier は、サポートされているどのフラッシュ・ストレージでも使用でき、すべての仮想化ストレージにメリットをもたらします。このアプローチは、単一のディスク・システム内で構成された階層型システムよりも、フラッシュ・ストレージのメリットを享受できます。EasyTier は緊密に統合されており、データ移行、複製、暗号化、RealtimeCompression、管理などの機能をフラッシュでもその他のストレージと同じ方法で使用できます。
SVC に組み込まれた IBM Spectrum Virtualize は、実に簡単に階層型ストレージを実装できるよう、仮想化、管理、ストレージの機能を統合したシステムです。このソリューションは、ストレージのすべての階層で共通の運用管理を実現し、アプリケーションを中断することなく、フラッシュ・ストレージなどの階層間で重要なデータを移行できます。
従来のディスク・システムの多くは、レプリケーション操作を同一ストレージ内または同一機種のストレージ間でしか実行できませんでした。また、他社製ストレージのコピー機能はそれぞれ別々の方法で動作するため、混在環境における運用は複雑になり、ストレージ機種の変更にかかるコストの増加につながっていました。
しかし、SVC に組み込まれた IBM Spectrum Virtualize は、使用するストレージの機種にかかわらず、管理者が統一された方法で高度なネットワーク経由のレプリケーション・サービスを適用できます。
IBM FlashCopy 機能は、バックアップや並列処理を目的に取得されるアクティブ・データのコピー (「スナップショット」) をほぼ即時に作成することができます。IBM Spectrum Control と IBM Spectrum Protect の一部である IBM Spectrum Protect Snapshot は、SVC の FlashCopyローカル複製を使用して、高速なアプリケーション認識型のバックアップおよびリストアを提供します。その際、IBM DB2、Oracle、SAP、VMware、Microsoft SQL Server、Microsoft Exchange への影響を最小限に抑えます。
SVC は、企業が災害復旧のために遠隔地でデータのコピーを作成できるように、リモート・ミラーリングもサポートしています。コピーは、IBM Spectrum Virtualize で構築された任意のシステム間で実行可能です。サポートされる任意の仮想化ストレージをこれに含めることができます。リモート・ミラーリングは、サイト間で、ファイバー・チャネル、Fibre Channel over Ethernet (FCoE)、IP (イーサネット) ネットワークを経由して行われ、災害復旧を迅速化できるように VMware vCenter Site Recovery Manager もサポートしています。
SVC に組み込まれた IBM Spectrum Virtualize は、IP ネットワークとともに、革新的なBridgeworks SANrockIT テクノロジーを使用して、ネットワーク帯域を最大限に活用します。その結果、ネットワーク基盤で必要とされるスピードを抑制(つまり、コストも抑制)できる可能性があります。また、コピー・サイクルの短縮は、リモート・データの精度向上に寄与します。
SVC は、一組の SVC Data Engine あたり最大 48 個のフラッシュ・ドライブまたはディスク・ドライブをサポートしており、入出力 (I/O)グループあたり最大 153.6 TB (システムあたり最大 614.4 TB) の物理容量を搭載できます。SVC は、ストレージ・システム内の仮想化された IBM FlashSystem や他の専用フラッシュ・ストレージ、フラッシュ・ドライブもサポートしています。
さらに、SVC に組み込まれた分散 RAID テクノロジーは、スペア用にフラッシュ・ドライブを残すのではなく、データやスペア用のフラッシュ・ドライブをすべて使用することで、フラッシュ・ドライブのパフォーマンスを向上させます。
システムソリューション部 東日本営業グループ
TEL : 03-3345-2170
FAX : 03-3345-2167